特定技能と技能実習の違いとは?~特徴・移行の仕組み・選び方を比較~
外国人材の活用を検討される際、まず分かりずらさに直面するのが「特定技能」と「技能実習」の違いです。
名称は似ていますが、制度の目的から運用ルールまで、実態は大きく異なります。
事業者様が「うちはどちらの制度を使うべき?」や「技能実習から特定技能へ切り替えられる?」などに
ついて、両制度を比較表で分かりやすく解説し、貴社の状況に合わせた最適な選択肢をご提示します。
目次
1. 特定技能と技能実習の根本的な違い
まず押さえておくべきは、それぞれの「制度の目的」です。下記の通りここが違うため、現場でのルールも
変わってきます。
特定技能(人手不足解消と労働力としての即戦力)
国内の深刻な人手不足の状況に置かれている産業分野において、一定の専門性や技能を持った外国人を受け入れることで解消するために創設された制度です。いわば、一定の専門技能と日本語能力を持つ外国人を、「即戦力」として雇用します。
在留資格「特定技能」は分野によって2種類が存在します。
・特定技能1号⇒特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する 外国人のための在留資格
・特定技能2号⇒特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人のための在留資格
技能実習(国際貢献・技術移転)
日本で学んだ技術を母国に持ち帰ってもらうための「教育・研修」を目的とした制度です。本来、労働力の需給
調整(人手不足解消)のために行われてはならないと法律で定められています。
2. 【比較表】ひと目でわかる9つの相違点
| 比較項目 | 特定技能(1号) | 技能実習(1号〜3号) |
| 目的 | 人手不足の解消(即戦力) | 国際協力(技術移転) |
| 在留期間 | 最長5年(2号は無期限可) | 最長5年 |
| 転職の可否 | 可能(同一職種内) | 原則不可 |
| 日本語能力 | 試験合格が必須 | 入国時は不問(実習による) |
| 家族の帯同 | 1号は不可、2号は可能 | 原則不可 |
| 受け入れ枠 | 原則制限なし(一部例外有) | 企業の常勤職員数による制限 |
| 関係機関 | 支援業務を登録支援機関に委託可 | 監理団体による指導・監督 |
| 教育コスト | 低め(既に技能があるため) | 高め(ゼロから教える必要有) |
| 採用方法 | 直接雇用・紹介など多様 | 監理団体を通じた募集が主流 |
3. それぞれのメリット・デメリット
特定技能のポイント
- メリット:
- 即戦力性: 試験に合格した人材のため、基礎知識がある。
- 柔軟な採用: 自社で直接探したり、紹介会社を使ったりできる。
- 日本語: 生活に支障がないレベルの日本語能力が担保されている。
- 注意点:
- 離職リスク: 転職が認められているため、待遇が悪いと他社へ流出する可能性がある。
- 複雑な書類: 支援計画の策定や定期報告など、行政書士等の専門家なしでは事務負担が大きい。
※特定技能制度の対象分野、特定技能1号・2号の運用状況(令和7年8月末)は下記のとおりです。
(参照:出入国在留管理庁 )



技能実習のポイント
- メリット:
- 定着率: 原則として転職できないため、数年間じっくり育成できる。
- 若さ: 意欲の高い若者が多く、社内の活性化につながる。
- 注意点:
- 管理負担: 監理団体への会費や、実習実施計画の遵守など、コンプライアンス管理が非常に厳しい。
- 業務の限定: 「実習」であるため、単純作業の繰り返しなどは認められない。
4. 技能実習(2027より育成就労)から特定技能への「移行」という選択肢
現在、多くの企業様が活用しているのが、「技能実習2号」を良好に修了した日本国内に既に在留している外国人を「特定技能1号」へ切り替える方法です。
※「特定技能1号」「特定技能2号」いずれも各特定産業分野の試験に合格する必要があります(「特定技能1号」は日本語試験にも合格する必要があります。)。
移行のメリット
- 試験免除: 技能実習2号を修了していれば、特定技能に必要な「技能試験」と「日本語試験」が免除されます。
- 通算10年の継続雇用: 技能実習(5年)+特定技能(5年)で、最大10年間にわたり慣れ親しんだ人材に働いてもらえます。
- 教育コストゼロ: すでに自社業務に精通しているため、スムーズに「戦力」として継続できます。
5. 【診断】貴社が選ぶべきなのはどっち?
「特定技能」が向いているケース
- とにかく今すぐ人手が足りず、即戦力が欲しい。
- 日本語でのコミュニケーションに不安を抱えたくない。
- 建設や介護など、特定技能2号への進展(永住の可能性)を見据えて長く雇用したい。
- 外食、宿泊、介護、ビルクリーニングなどは、技能実習生としての枠組みが少なく、特定技能からが多い。
- 「夜勤」や「服薬介助(介護)」など、技能実習では制限がある業務を任せたい場合に、最初から特定技能として採用されるケースが多い。
「技能実習」が向いているケース
- 自社の技術を一から教え込み、社内の文化を共有してほしい。
- 3〜5年間、確実に自社で働いてくれる人材を確保したい。
- 海外展開を視野に入れており、将来の現地幹部候補を育てたい。
- 建設、造船、製造業などは、技能実習から入って、高度なスキルが積み上がる必要がある職種。
- ゼロから自社で育て上げた人材を、特定技能として継続雇用するニーズが非常に高い。
6. まとめ:外国人雇用のご相談は陶山法務オフィスへ
特定技能と技能実習、どちらが「正解」ということはありません。ざっくり言えば、「制限なく、今すぐフルタイムで動いてほしい」なら特定技能での採用、「じっくり育てて10年働いてもらいたい」なら技能実習からのスタートですが、一概には言えません。貴社の事業内容、将来の展望、そして受け入れ体制にどちらがフィットするかが重要です。
「特定技能」と「技能実習」の違いは、単なる在留資格の違いではなく、「貴社の分野によって、どのような人材を、どのような期間で、どのような役割として迎えたいか」という経営戦略の違いとも言えます。
行政書士 陶山法務オフィスでは、制度の比較検討から、面倒なビザ申請、受け入れ後までサポートいたします。「特定技能と技能実習の違いをもっと教えて欲しい」や「どのかたちで受け入れたらよいか相談したい」といった場合は、お気軽にお問い合わせください。
参考:出入国在留管理庁:外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組 特定技能ガイドブック
厚生労働省:技能実習制度について 技能実習制度の見直しについて


