【2026年2月】特定技能「宿泊」:人手不足で悩まないホテル・旅館へ

 宿泊業界は今、大きな転換期にあります。政府が掲げる「2030年訪日外国人6,000万人」という目標。一方で深刻化

する現場の人手不足。このギャップを埋める最大の鍵が、在留資格「特定技能」です。

 本稿では、在留資格の比較から、不許可リスクの回避、採用フロー、長期雇用を見据えた戦略までを解説します。

目次

目次

  1. 宿泊業界の現状:なぜ今「特定技能」なのか?
  2. 在留資格の罠:なぜ「技術・人文知識・国際業務」で不許可が続出するのか
  3. 【徹底比較】宿泊現場で活用できる3つの特定技能(宿泊・外食・ビルクリーニング)
  4. 特定技能「宿泊」の全貌:業務範囲と1号・2号の違い
  5. 【図解】失敗しないための採用・申請10ステップフロー
  6. 法的遵守事項:直接雇用・フルタイム・協議会の重要ルール
  7. 実務Q&A:現場の「困った」をプロが解決
  8. 最後に:行政手続きの適正な遂行に向けて

1. 宿泊業界の現状:なぜ今「特定技能」なのか?

現状の「二大リスク」:留学生と技人国

現在、現場を支えている外国人の多くは以下の2つの在留資格ですが、それぞれに大きな課題があります。

  • 留学生(資格外活動)のリスク:【時間の壁】 週28時間以内という厳格な就労制限があります。繁忙期だからといってシフトを増やすことはできず、違反すれば本人も企業も処罰の対象となります。そもそも、あくまで「学業が本分」であり、卒業までの「一時的な労働力」に頼るのでは安定的な基盤とは言い難いです。
  • 「技術・人文知識・国際業務(技人国)」のリスク:【業務の壁】 フロントでの翻訳や広報などの「専門的・事務的業務」を前提としたビザです。最大の問題は、「客室清掃」「配膳」「荷物運び」といった現場作業が一切認められていないことです。人手不足の現場で、フロント担当が掃除や配膳を手伝うことは日常茶飯事ですが、これが「技人国」の場合、知らず知らずのうちに不法就労(資格外活動違反)を招き、次回のビザ更新が不許可になるという「爆弾」を抱えているのです。
  • 特定技能がこれらのビザと決定的に違うのは、以下の点です。
  • 「現場のマルチタスク」が合法: フロント業務に加え、レストランでの配膳や客室清掃も「正社員」として堂々と任せることができます。
  • 即戦力の確保: 専門の試験を突破した人材、あるいは技能実習を修了した「日本の現場を知る」人材を、期間の制限なく(2号移行も見据えて)雇用できます。

 2024年10月末時点で、宿泊・飲食サービス業で働く外国人は約27万人。しかし、その多くが資格外活動(留学生のアルバイト)や「技術・人文知識・国際業務(以下、技人国)」という不安定な基盤の上にあります。

 政府の試算では、今後5年間で宿泊業には約10万人の人手不足が生じるとされています。この不足分を補うため、特定技能「宿泊」には2万2,000人の受入枠が設定されました。「現場作業ができる正社員」を合法的に雇用できる唯一の選択肢として、今、特定技能への切り替えが加速しています。

 ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格についてhttps://www.chatwork.com/gateway/download_file.php?bin=1&file_id=1964206979&preview=0(出入国管理庁)

2. 「技術・人文知識・国際業務」の厳格な審査実態:現場業務とのミスマッチに注意

 宿泊業で従来活用されてきた「技人国」は、学術的・専門的な知識を必要とする業務に限定された資格です。そのため、現場での実務が伴う宿泊業の労働実態と、制度上の基準との間で乖離が生じやすく、審査が非常に厳格に行われます。

入管庁公表の事例でも、以下のケースでは不許可となるリスクが高いことが示されています。

実際にあった不許可事例

  • 事例A: 経済学を学んだ優秀な留学生をフロントで採用。しかし、実態が「荷物の運搬や清掃」中心とみなされ、不許可。
  • 事例B: 通訳として採用。しかし、宿泊客の言語と本人の母国語が一致せず、通訳業務の「必要性」が疑われ不許可。
  • 事例C: 「最初の2年間は研修として配膳・清掃をさせる」と正直に記載したところ、研修期間が長すぎるとして不許可。

 ※事例A〜Cは、出入国在留管理庁公表の「在留資格『技術・人文知識・国際業務』の審査に係る事例について」より、宿泊業に関連するケースを抜粋・要約したものです。

 適法な雇用を維持するためには、職務内容に合致した在留資格の選択が不可欠です。これまで、ホテルのフロント業務には「技人国」が使われてきました。しかし、ここには「単純労働禁止」という高い壁があります。

3. 【徹底比較】宿泊現場で活用できる3つの特定技能

 ホテル内には様々な業務があります。任せたい役割に応じて、以下の3つの分野を使い分けるのがスマートな運用です。

分野得意な業務できないこと
特定技能「宿泊」フロント、接客、レストラン配膳、広報。付随的なベッドメイク。本格的な調理(盛り付けは可)、店舗管理。
特定技能「外食業」本格的な調理、厨房管理、店舗運営フロント業務、客室清掃。
特定技能「ビルクリーニング」客室清掃、アメニティ補充、建物管理フロント接客、レストランサービス。

視点: 多くの業務を柔軟に任せたい場合は、特定技能「宿泊」が最も汎用性が高く、現場のシフトに柔軟に対応できます。

4. 特定技能「宿泊」の全貌:1号と2号の違い

 特定技能には、導入段階の「1号」と、熟練者向けの「2号」があります。

【図表】1号 vs 2号 比較ロードマップ

項目特定技能1号特定技能2号
在留期間通算5年(上限あり)更新制限なし(永住への道)
家族帯同不可可能(配偶者・子)
技能水準基本試験(N4レベル)熟練した技能(指導・管理能力)
支援義務企業に手厚い支援義務あり支援義務なし(自立した人材)

キャリアパスの提案:

 「かつて特定技能1号は『最長5年まで』という期間限定のイメージがありましたが、2023年の制度拡大により、宿泊分野でも『2号』への移行が可能となりました。これにより、家族と共に日本に定住し、将来の幹部候補として長期的に活躍してもらう道が完全に開かれています。」

 1号として5年間現場を支えてもらい、その間に試験を突破して2号へ移行。家族を呼び寄せることで、地方の旅館でも「10年、20年と働く中核メンバー」を育てることが可能です。

5. 【図解】失敗しないための採用・申請10ステップフロー

特定技能の申請は、従来のビザより工程が多く、事前準備が成否を分けます。


6. 法的遵守事項:絶対に守るべき3つの重要ルール

 特定技能には、他にはない厳しいルールがあります。これに違反すると、不法就労助長罪や受入停止処分を受けるリスクがあります。

  1. 直接雇用のみ(派遣NG): 宿泊業では、派遣会社から特定技能スタッフを受け入れることはできません。
  2. フルタイム雇用(週30時間以上): アルバイトや「ピーク時のみ」の雇用は認められません。日本人と同等以上の給与水準も厳守です。
  3. 協議会への加入: 宿泊分野特定技能協議会(観光庁管轄)への加入は必須です。「申請前」に加入手続きを終えている必要があります。

7. 実務Q&A:現場の「困った」をプロが解決

Q. 技能実習生から特定技能へ移行できますか?

A. 宿泊業には技能実習がなかったため、他業種(食品製造など)からの移行が中心となります。その場合、日本語試験は免除されますが、「宿泊業技能評価試験」には合格する必要があります。

Q. 「簡易宿所」や「ラブホテル」でも雇用できますか?

A. できません。旅館業法上の「旅館・ホテル営業」の許可が必要です。また、風俗営業法に該当する施設や、接待を伴う業務は厳禁です。

Q. 登録支援機関には必ず委託しなければなりませんか?

A. 自社で支援体制(生活サポートなど)が整っていれば可能ですが、非常に煩雑です。当事務所のような専門家と連携した登録支援機関に委託するのが一般的で安心です。

8. 最後に:行政手続きの適正な遂行に向けて

 宿泊業における外国人雇用は、入管法や各分野の運用要領に基づいた厳格な手続きが求められます。適正な手順を欠

いた雇用は、図らずも法令違反を招くリスクを孕んでいます。

 行政書士陶山法務オフィスでは、行政手続きの専門家として、以下の事務的なサポートを行っております。

  • 在留資格の要件確認: 貴施設の状況と候補者の経歴を照らし合わせ、該当する資格の有無を法的に確認します。
  • 申請書類の作成・提出代行: 入管法に準拠した書類作成、および地方出入国在留管理局への取次(提出)を行います。
  • 協議会加入手続きの支援: 宿泊分野特定技能協議会への入会届出等、申請に付随する事務手続きをサポートします。
【まずは無料相談からお気軽にご連絡ください】

当事務所では、急ぎの案件にもできる限り即日対応いたします。
「まだ依頼するか決めていない」「まずは話だけ聞きたい」という段階でも問題ありません。

はじめての方でも安心してスタートできるよう、無料相談をご用意しています。
状況を丁寧にお伺いしたうえで、手続きの流れ・必要書類・費用の目安まで分かりやすくご説明します。

無理な勧誘は一切いたしません。
まずはお気軽にお問い合わせください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次